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M&Aを決断する時とは

  • 2020.12.14
  • コラム
M&Aを決断する時とは

M&Aを決断する理由その1

譲渡企業がM&Aを決断した理由はどのようなものがありますか?との質問がありましたので、今回は企業オーナー側がM&Aを決断する理由についてご説明いたします。

大きくは、
①将来に不安がある
②現金が必要になった
の2極化になります。

詳しく見ていきます。

①将来に不安がある

経営が継続できなくなった主な理由としては、
”健康上の問題”、”時代の変化についていけない”、”モチベーションがなくなった”
”経営の限界を感じた”、”今までのやり方が通用しなくなった”、”市場環境が変わった”、
”資金繰り、人繰りに疲れた”、”売上が減少した”、”赤字会社になった”が挙げられます。

現在社会問題化している”後継者不在”ですが、中小企業庁が調査した結果によれば、中小企業の経営者年齢は1995年のピークが47歳であったのに対して、2015年の経営者年齢のピークは66歳になっており、2020年の現在ではさらに進んで60後半から70歳であると推察できるので、過去に経験したことがないような高齢化が進んでいることは事実だと思います。

参考:中小企業庁 2 中小企業の経営者の高齢化と事業承継

しかしながら、表面的には高齢化が進んだとしても、不安のない経営者は、今すぐ行動を起こす動機がないのです。高齢であっても、身体が健康、業績も堅調で、大きなお金も使う予定もなければ、特に手間を兼ねてまでM&Aを行う理由はないのです。逆に、今の現状で不安がない、又は、感じていない場合には、会社を売った後、何をすればよいのかで不安になります。

なので、「譲渡企業がM&Aを決断した理由はどのようなものがありますか?と」の質問にお答えすると「不安が発生したとき」が回答です。

不安というのは、将来業績が下がって給料や固定費が払えなくなるのではないか、借金が返済できなくなるのではないか、自身が健康でなくなって会社が立ち行かなくなるのではないかといったものです。

これらを払拭するため、後継者が決まっていなければ、親族内承継や親族外承継(主に従業員)の可能性を一緒に考えていきます。今は、オーナー経営者が決めた後継者に、自身が保有する自社株式を贈与・相続などにより承継したときに課される贈与税・相続税の納税が猶予される事業承継税制における納税猶予の制度がありますので、税金面はなんとかなります。また従業員へ引き継ぐのであれば、補助金や、株式を担保に金融機関からの借入もできますので、従業員に引き継がせたい思いがあれば、お金もなんとかなります。

しかし、子供や親せきは次ぐ意思がない、家族や従業員では今の経営以上の業績は出せないので不適格だといった判断を行ったときに、第三者によるM&Aによって会社を譲渡する方法を検討することになります。
(そのときは、ぜひ当社にお任せください。もちろん、その前の後継者選びの段階でも誠心誠意サポートをさせていただきます。)

なので、高齢であっても健康上に問題がなければ、会社経営に不安がなければ、そのまま継続していけばよいのです。でも、いつかは年齢による体力の限界がきますので、事前に準備をしておくことは大切なことです。

準備といっても、後継者選びがどうとか、相続税の計算がどうとか大げさに考える必要はないです。自身が会社の経営に関与できなくなった場合でも、会社が存続できるように従業員への教育や権限の委譲をしておくこと、また、貴方の相続人である配偶者や子供に会社の株式の相続について話しておき、いざというときの会社の体制を決めておくだけでよいです。会社が問題なく営業できるように従業員には指示系統を、家族には会社の支配関係(会社の意思決定)を、貴方の一存で決めておければよいのです。

ちなみに、配偶者への相続は1億6千万円以下であれば相続税はゼロで、それ以上でも、相続される資産全体の50%までは配偶者が相続しても相続税は発生しません。

したがって、会社の支配関係を維持しながら、形式上は奥さんが代表取締役になっても、従業員が会社を切り盛りできるのであれば、配偶者へ株式を相続するのが良いかもしれません。

長くなったので、②現金が必要になったは次回とします。

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