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非上場株式の評価方法

  • 2020.11.10
  • コラム
非上場株式の評価方法

非上場株式

非上場株式は「取引相場のない株式」となります。前回のコラムでは、低額譲渡の落とし穴として、非上場株式を時価よりも安い価額で譲渡した場合、時価評価額によって課税されてしまう恐れがある点をご説明しております。基本的には、純資産価額以上の価額で株式を売却していれば、低額譲渡に当たることはないかと思いますが、相続や親族内事業承継よる場合では、時価評価額で課税されるので、税務上でどのように評価されるのかが気になります。

税務上でどのように時価評価がされるのかですが、同族株主等同族株主等以外で評価方法が変わります。

同族株主等は原則的評価方式

原則的評価方式は、類似業種比準方式純資産価額方式があります。

類似業種比準方式は、
類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。

純資産価額方式は、
会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。

自社がどの評価方式に該当するかは、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分し、大会社は類似業種比準方式(原則)、中会社は併用方式(原則)、小会社は純資産価額方式(原則)によって評価されます。

なお、大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分する際には、従業員が100人以上は大会社、100人未満は業種ごとの総資産価額と従業員数、年間取引金額の表で決定されます。

同族株主等以外は、配当還元方式

同族株主等以外(いわゆる少数株主)では、配当還元方式による評価となります。

配当還元方式とは、
過去2年間の配当金額を10%の利率で還元して、元本である株式の価額を求めようとする方式です。配当を評価の考え方にしている理由は、非上場企業では創業者一族が会社を支配している、いわゆる同族会社のケースが多いですから、同族株主が取得した非上場株式に関しては会社の価値がダイレクトに反映される原則的評価方式で評価をしますが、少数株主は、会社のコントロール権を有さないことから会社の事業を伸ばして利益を得る考え方ではなく、出資の見返りとして配当を期待している配当目的と考えるためです。

配当還元方式は少数株主しか利用できない評価方法ですが、原則的な評価方法よりも評価額が低くなる傾向があります。

第三者に譲渡する場合には

M&Aを活用して第三者に株式を譲渡した場合には、上記の評価方式は当てはまりません。
あくまでも売却価額-(取得価額+譲渡に係る費用)=売却益に対する課税となります。この売却価額が不当に低いと問題になりますので、目安としては純資産価額以上であるかで判定してください。

まれに債務超過会社で1円譲渡して負債を引き継いでもらう場合がありますが、この場合には、上記の原則的評価方式(少数しか売却しない場合には配当還元方式)による評価額を参考にしながら譲渡スキームを考えることで、税務リスクを軽減することになります。

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