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株式を譲渡したときにかかる税金

  • 2020.10.02
  • コラム
株式を譲渡したときにかかる税金

株式譲渡は、大企業から中小企業のM&A手法で幅広く活用されています。個人が保有する非上場会社の株式を譲渡した場合にかかる税金の考え方について説明いたします。

非上場株式の譲渡にかかる税金

個人が所有する非上場株式を売却した場合、原則として売却益に所得税がかかります。所得税法上は一般株式等にかかる譲渡所得とする申告分離課税となります。(要は給与所得とかの総合課税制度とは別ってことです)
申告分離課税の税率は、所得税15.315%と住民税5.00%の合計20.315%です。
ポイントは、
売却額ではなく、売却益に対して課税されることです。

売却益はどうやって計算するのか

非上場株式の売却益の計算は、以下の通りです。
売却価額-(取得価額+譲渡に係る費用)=売却益

売却価額は株式が売れた金額となります。取得価額は、株式を取得した時に払った金額のことですが、オーナー社長であれば会社設立時、増資時のときに払い込んだ出資金となります。

例えば)
設立で100万円、増資で100万円を払って全株式をオーナー社長が持っているのであれば、200万円が取得価額となります。また、株式が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることも認められますのでそういった方は税理士にご相談してください。

余談ですが、株式を出資金ではなく、譲り受けていた場合には、取得価額には取得に係る購入費用(弁護士や会計士等へ支払った手数料で消費税も含まれます)も取得価格に入れることができます。譲渡に係る費用は、譲渡を行うにあたって支払った費用になりますが、例えば、M&A仲介会社への成功報酬、弁護士費用が挙げられます。消費税も込みで大丈夫です。

これらを整理して上記の計算式で算出された売却益に対して申告分離課税で申告して所得税と住民税の合計20.315%を納税することになります。

低額譲渡の落とし穴

非上場株式を時価よりも安い価額で譲渡した場合、低額譲渡に該当しますが、この場合、売却益のベースは、売却価額ではなく時価相当額で譲渡したものとみなされるため、注意が必要です。

例えば)
取得費用 100万円 時価相当額 200万円 売却にかかった費用50万円 売却額 150万円とした場合、実際に受け取った額は150万円であって売却益が出ないと考えてしまうケースが多くあります。
この場合には、低額譲渡に該当してしまい、実際には、
時価相当額200万円ー(取得費用100万円+売却にかかった費用50万円)=50万円×20.315%=101,575円の税金が発生します。

そのため、
非上場株式の譲渡には、株式の時価評価を行って時価を確認することをお勧めいたします。

非上場株式の株価算定には、国税庁が作成している「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて評価することになります。簡単に言えば、大企業に分類されなければ、純資産を時価評価のベースとする考え方です。
こちらは、また、別のコラムにて解説いたします。

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