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M&A後の従業員はどうなるのか?

  • 2020.07.20
  • コラム
M&A後の従業員はどうなるのか?

従業員の給与体系

会社を事業承継やM&Aによって第三者へ引継ぎを行う際に、”従業員の給与体系をどうするのか”という課題があります。人事制度は会社特有のものとなりますので、引き継ぐ会社での従業員の給与体系は気になるところかと思います。解決策としては、「どちらかの企業に合わせる」又は「新しい人事制度を作る」のどちらかの選択になりますが、基本的には買い手企業の人事制度に合わせることが多いです。
 
会社を事業承継やM&Aによって第三者へ引継ぎを行う際には、従業員が路頭に迷わないように以下を契約条件に挙げることが多いです。


①雇用の継続
②給与水準の維持

①雇用の継続

買い手企業にとっては、従業員は事業価値の1つとしてみることが多く、技術職や営業職の雇用継続については特に問題となることはないでしょう。問題となるケースとしては、一般事務職や管理職、管理部門の社員となります。引継いだ後に、経理や管理面は本社で一括管理するというのは、多くの買い手企業で行う合理化対策の一環でもありますので無下に否定することもできません。
 
売り手企業としては従業員がM&Aのせいでリストラの憂き目に合うことは望まないと思いますので、契約に1年~3年の雇用維持を盛り込むことが対策となります。リストラ対象になってしまいそうな管理職、管理部門の社員は、その期間内で、買い手企業の必要とする人材に成長していくことが必要となりますので、当該社員には、その意識をきちんともって、仕事や勉強に励んでもらうほかないと私は考えています。その努力ができる人であれば、引き継いだ後でも、買い手企業によって重宝され、結果的に待遇もよくなっていくと思います。

②給与水準の維持

M&Aで第三者へ従業員も引き継ぐ場合には、1~3年というある程度の年数をかけ、徐々に買い手企業側の制度に寄せるケースが一般的です。とはいえ、もともと在籍していた企業と遜色ない待遇を受けられることが多く、従業員にとって不利になるケースはほとんどないでしょう。企業を買収するということは、経営状態が上向きな証明でもあるからです。
 
M&Aにあたって、元経営者が契約条項に従業員の雇用継続と、待遇改善を盛り込むのが一般的ですので、多くのケースでは、従業員の待遇は良くなる傾向にあります。しかし、前述の①雇用の継続で記載したとおり、買い手企業にとって将来的に必要な人材として、知識やノウハウを取得していかないと契約で縛られた雇用維持、給与水準維持が終了した場合、不意にリストラ対象になってしまったケースもありますので、従業員には新しい環境への対応のための努力をしっかり行うように意識付けを行う必要はあります。

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