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M&Aを行う時期 その②

  • 2020.06.26
  • コラム
M&Aを行う時期 その②

M&Aで大事な内部環境

前回「M&Aを行う時期 その①」では、M&Aで会社が高値で売れやすい外部環境を説明いたしました。しかし、M&Aに適した外部環境であっても、内部環境、すなわち、自社の環境が整っていなければ希望額で売却することが叶いません。自社の環境が整っていないとは、主には以下のような状況です。


・経営環境の悪化(事業の停滞又は減退)
・債務超過(借金過多で純資産の部がマイナスとなっている)

上記のいずれかの状態である場合には、「売り手」企業にとっての交渉力が弱くなってしまいます。そのため、これらを改善する必要が出てきます、これが自社の環境を整えるという意味になります。

仮に経営環境の悪化(事業の停滞又は減退)の状態である場合、自社の業績が下降トレンドにある場合において、「買い手」企業は興味を持たないか、買収価額を引き下げようという姿勢が強くなります。自社の業績が停滞又は減退しているときには、事業のテコ入れに着手する必要があります。
 
事業のテコ入れとは、主に、

①リストラの実施
②強みを作ること

が基本となります。

①リストラの実施

経費を削減していくということ、つまりは徹底的に無駄を省いていくということです。ポイントは、大きい金額の経費について検討していくといことです。
 

■例えば
固定費の削減であれば、大きな金額は賃料と人件費ですが、賃料は交渉して坪単価を下げる、移転して坪数を小さくするといった感じになるかと思います。人件費は、人員整理を行えば人件費は削減できます。しかし、人は会社の貴重な財産であるため、単純に人を削減するのは得策とはいえず、まずは、マニュアル化によって業務効率を上げたり、システム導入で作業時間を減らしたりする取り組みを優先するとよいかと思います。

②強みを作ること

内部環境を整える上で最も重要となります。経営は「続けていくもの」「やめるもの」、「新しく始めるもの」をぞれそれ組み合わせながら、「取捨選択」していくことが効果的だと思います。取捨選択を行う上でのキーワードは、「時流適応」です。「時流適応」とは、市場ニーズの変化に対応していくこと、今後のトレンドと自社の方向性を合致させていくということです。自社が提供する商品・サービスで「売れているもの」「売れていないもの」「売れているが赤字のもの」を確認し、「儲かるもの」を「続けていくもの」と整理、「不採算なもの」をやめていくものと整理、「強化すべきもの(競合他社より足りていない又は同等)」を「新しく始めるもの」と整理することで内部環境を磨き上げることができます。「強化すべきもの(競合他社より足りていない又は同等)」が「強み」となる部分で、貴社のとんがり部分を作っていく作業なので、はっきり言って難しいです。
 
■例えば
社長が「コロナ過によって今後は中食のニーズが増えていく、今の中食で売っていない商品を作る」と時流適応しようとしても、社員からは「うちにはそんなノウハウ、施設、お金はない」とか「うちがそんなことできるはずがない」、「うちがやっても売れるはずがない」と否定的な見方が多くなると思います。実際に私がコンサルタントで再生支援をしている会社でこのようなことが起きています。これらを打ち破って協力体制を構築するには、社長の強いリーダー・シップと社員への還元の仕組み作りが必要と考えています。社員への還元の仕組みづくりは、単なるお金だけではなく、仕事上での権限移譲や地位の付与などで「やりがい」を持つことができるための仕組みづくりが必要です。社長と社員が同じ方向性をもって、「新しく始めるもの」ができたなら、それは「強み」に育っていくことと考えています。「強み」を作るには社長の強い意志を伝え、それに向かって社員と共に邁進できる組織作り、意識作りが重要となります。

 
<M&Aを行う時期>
 
そういった会社には「活気」がでてきます。また、社員のレべルも能動的になることで、能力が上がって行く事になり、業績は必然と上向きになってくるでしょう。そうすれば内部環境は整ったといってよいです。そして、その状態になってもM&Aを行ったほうがよいと考えているならば、その時こそが、M&Aを行う時期なのです。

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