TMCコラム COLUMN

M&Aを行う時期 その①

  • 2020.06.22
  • コラム
M&Aを行う時期 その①

「M&Aで会社を売却するよい時期はあるか?」

よくあるご相談の中に、「M&Aで会社を売却するよい時期はあるか?」といったご質問があります。M&Aの時期については、私は会社が高値で売れる時であると考えております。しかし、会社が高値で売れるときとは、一時のタイミングであり、それは外部環境と内部環境によって左右されるため、そこを見極めることが重要です。まずはM&Aで会社が高値で売れやすい外部環境を見ていきます。私は、M&Aでよい外部環境の特徴は、以下であると考えています。


①株式市場が上昇トレンドである
②景気がよい
③業界でM&Aが活発化している

M&Aの買い手となる企業は上場会社が一番手となりますので、

①株式市場が上昇トレンド

株式市場が上昇トレンドというのは、「売り手」企業にとってはチャンスとなる外部環境です。株式市場で日経平均のチャートが上昇トレンドを形成している時であれば、企業は強気の経営となり、更なる収益拡大を目指し、既存事業の強化や周辺事業、新規事業への進出を進める傾向になるためです。

②景気がよい

景気がよい時とは、日本国内の実質GDPがプラス、かつ、景気動向指数が割合が数カ月連続して50%を上回っている時です。50%を下回っているときは景気が後退していると判断できます。そして、景気がよい状態では、「新規求人数」が増え、求人数の増加は景気動向指数よりも先行する特徴がありますので、そこでも判断することもできます。

③業界でM&Aが活発化している

業界でM&Aが活発化しているとは、業界再編による企業合併や競合会社が積極的なM&A展開をしている時です。これは景気が悪くても起りうる特徴があります。理由は、日本国内における人口減少とそれに伴う国内市場の縮小、国際化に伴う外資企業との競争激化を背景とし、業界再編が起こるからです。業界再編の事例としては、医薬品卸売業界で、2000年以前では350社あった医薬品卸売業界は、10年後の2010年には大手4社のシェアが市場の90%になりました。

また、調剤薬局業界では、2009年の調剤薬局の薬事法改訂に伴い、コンビニやスーパーなどが参入が可能になった結果、大企業が非常に多くなっています。中堅の薬局などが、シナジー効果の高いドラッグストア業界によって買収され、そのドラッグストア業界も2019年6月にマツモトキヨシがココカラファインとの資本業務提携の独占交渉権を獲得し、2020年1月に2021年10月にマツモトキヨシホールディングスとココカラファインが経営統合すると発表するなど、業界再編が進んでいます。

このように業界でM&Aが活発化している状態というのは、「買い手」企業が国内市場のシェア獲得に動く状態であるという事で、同業者やシナジーが出しやすい周辺事業を展開している「売り手」企業にとっては、よい外部環境と言えます。

このように業界でM&Aが活発化している状態というのは、「買い手」企業が国内市場のシェア獲得に動く状態であるという事、「売り手」企業にとっては同業者やシナジーが出しやすい周辺事業の展開により、良い外部環境が整っていると言えます。

 

< 内部環境の整備は重要 >

 
前述のような特徴が現在の外部環境にでていれば、「買い手」企業は見つけやすく、また、プレミアムを乗せてくれる可能性が高いためM&Aで会社が売却する時期としては適していると考えられます。しかし、この時期を逃すと「買い手企業」が限定される(見つかりづらい)、理想とする評価が貰えない(希望の売却額とならない)、交渉上の優位性がなくなる(買い手企業が優位の立場)といった状態に陥ることになります。

そのため、外部環境がよいタイミングを捉え、自社にとって売却すべきタイミングを誤らないためには、内部環境の整備は重要となります。外部環境はコントロールできませんが、内部環境は自社である程度コントロールする事が可能です。内部環境が良くなければ、外部環境がよくとも希望額で売却することが難しくなってしまいます。

長くなってしまったので、M&Aで会社が高値で売れやすい内部環境については、次回「M&Aを行う時期 その②」とさせていただきます。

お気軽にご相談ください

事業承継や企業の譲渡、M&Aに関するご相談を無料で承ります。

top