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M&Aはどうやって行うのか

  • 2021.03.11
  • コラム
M&Aはどうやって行うのか

M&Aのプロセス

M&Aは、自社を他社に引き継ぐ(=譲渡する)ために実施することが多いのですが、M&Aで自社を譲渡する場合は、次のようなプロセスで実行していきます。

①M&Aの意思決定
②買い手候補先の発掘、選定
③基本条件の確認、交渉
④買い手候補先による調査
⑤最終条件の提示、交渉
⑥譲渡契約書の締結、決済

①M&Aの意思決定

売り手企業はなぜM&Aをしたいのか、M&Aで得たいものは何かをまずは決めていきます。
例えば、後継者不在が経営課題としてあるのであれば、
●なぜM&Aをしたいのか=後継者不在による廃業を回避したい
●M&Aで得たいもの=事業の継続と成長を任せられる後継者、かつ、オーナーの売却益
となります。ここがあいまいな場合や決まらない場合、解決策としてのM&Aは一旦除外したほうが無難です。

②買い手候補先の発掘、選定

M&Aを行いたい理由と得たいものが決まったら、そこを満たしてくれる買い手候補先を探していきます。いわゆるソーシングと言われる活動です。自社の希望に合った買い手候補先が見つかるのかという点について、不安を抱いているオーナーの方も多いと思います。ソーシングは、自社にとって納得のいくM&Aを行うためにとても重要なプロセスですので、不安がある場合にはM&Aアドバイザーの活用を検討しましょう。

③基本条件の確認、交渉

興味を持ってくれた買い手候補先が見つかった場合、売却希望金額、売却後の経営体制(事業内容の継続、従業員の雇用継続、取引先との関係継続)を提示します。買い手候補先もM&Aの目的、希望条件がありますので、この段階でお互いの大きな条件の不一致がないか交渉していきます。ここで条件等をあいまいにせず、絶対にゆずれない条件は死守し、ある程度妥協してもいい条件を緩和させることで、基本条件を一致させるための交渉を行っていきます。基本条件が一致すれば、買い手候補先と法的拘束力のない基本合意書を締結します。

④買い手候補先による調査

基本合意書を締結した後は、買い手候補先による調査、いわゆるデュー・デリジェンスが行われます。買い手候補先の調査は、情報の真偽を確認する、隠れたリスクを洗い出す、事業の将来を見極めるために重要なプロセスです。この調査は買い手候補先の権利であり、買い手候補先に情報を開示するのは売り手企業の義務とお考え下さい。このときに、都合の悪い情報を隠したり、情報を出さないケースがありますが、逆効果です。悪いところがない会社など存在しないので、それを開示してあげることで、買い手候補先との信頼関係の構築につながり、M&Aの成約率も上がっていきます。

⑤最終条件の提示、交渉

買い手候補先の調査が完了したら、調査結果を踏まえ、買収金額、買収条件の提示が行われます。このとき、基本条件を覆すような条件が提示されたら、理由を確認して、その理由が不合理と感じたならばM&Aを中止、保留とすべきです。たいていの買い手候補先は、買収金額を下げるような材料を見つけて、買収金額を下げ、後の条件は維持した形で条件を提示してきます。このとき、買収金額が下がった理由を1つずつ確認して、いやこれはこうじゃないといった項目があれば反論や反証を提示して交渉していきます。

⑥譲渡契約書の締結、決済

最終条件で合意出来たら、譲渡契約書を締結します。譲渡契約書は、合意した条件(譲渡金額と決済方法、経営体制の継続条件)に表明保証、競業避止義務、賠償、解除条件、引き渡し日等を加味した契約書です。ここで押印した場合には、後戻りできませんので、①M&Aの意思決定で決めた目的が達成できているのか、改めて検討してから押印してください。押印した後は、従業員への説明、取引先への説明を行って、契約書に示された決済方法で決済日、引き渡し日を迎えて完了となります。また、ここで注意してほしいのは、押印した後、企業価値を落とすようなことがないように経営をしっかり行うようにしてください。押印した後は、「もう自分の会社じゃない」とか「入ってくるお金」のことに気をとらわれ、従業員の士気が下がり、売上低下となるようなことがあれば買い手候補先が損を被ることになるので、そうならないように今まで以上に、しっかりと経営を行ってください。

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