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M&A専門業者の適正化について

  • 2020.09.02
  • コラム
M&A専門業者の適正化について

中小M&Aガイドラインによる専門業者の適正化

2020年3月に経済産業省は、中小企業におけるM&Aの促進を目的として、「事業引継ぎガイドライン」を全面改定した「中小M&Aガイドライン」を策定し、公表しております。


<中小M&Aガイドラインの趣旨・目的は>
「後継者不在の中小企業にとって、M&Aを通じた第三者への事業の引継ぎは、事業承継の重要な手法の一つですが、中小企業経営者の中には、M&Aに関する知見を有しておらず、長年経営してきた自社を第三者に「売る」ことを躊躇する者も存在します。また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関が、適切に支援を実施することが重要です。」


と記載されており、今の中小企業におけるM&Aの課題であると考えます。

M&Aの検討を進めるには

M&Aの知見がないことには、どのようにM&Aを活用して第三者に引き継ぐためのプロセスが見えてこない。一人で考えても日々の業務に追われ、考えが先に進まない。といったことは私がご相談を受けているオーナー経営者もおっしゃっておりました。
 
「いくらで売れるのか?」が分からなくては、M&Aの引継ぎを前向きに検討しようと考えるのはなかなか難しいものです。この「いくらで売れるのか」を考えるには、M&A業界の目安として純資産+営業利益の数年分があります。これは単純に目安が分かりやすく、買い手企業も投資回収までの期間が読みやすいのでよく使われております。

この目安によって「いくらで売れるのか」という金額について目安を付け、「この金額なら進めてもいいかな」、「これぐらいならあまり魅力がないかな」といった一定の判断ができます。是非一度お試しください。
 
しかし、純資産+営業利益の数年分については、買い手企業にとって都合がよくても、売り手企業にはそうでない場合があります。
 
具体的には、この指標は過去の業績を判断材料としているので、
1)将来の業績向上分が加味されていない
2)販売管理費について引継ぎ後に不要になると思われる経費の削減が反映されていない
  (例:賃料や旅費交通費、交際費等)
3)経営権を譲渡することによって生まれるコントロール価値が加味されていない

これらの価値向上の余地があれば、専門家に無料価値算定をしてもらったほうが適切な目安が分かります。なお当社でも無料で企業価値算定を行わせていただいておりますので、ご活用ください。当社へのお問合せはこちら

中小M&Aガイドラインで興味深いのは、”M&A業務の手数料等の割安が見極めにくい”、”M&A支援に対する不満が多い”ことから適正化を図っているということです。これは、現在の中小企業のM&Aを支援する専門業者に対する評価であり、専門業者の不透明感がM&Aの促進の阻害になっているとすれば、ズバリ「価格体系が分かりにくい」、買い手企業からも報酬をとる仲介に納得がいかないといったオーナー経営者の声がガイドラインに反映されたということです。

価格体系が分かりにくい

M&Aの専門業者の価格体系はさまざまです。主に発生する報酬は以下のとおりです。

  • 着手金(主に契約締結時に支払う)
  • 月額報酬(一定額を毎月支払う)
  • 中間金(基本合意時に成功報酬の一部を支払う)
  • 成功報酬(案件完了時に支払う)

成功報酬を算定する際には以下の体系があります。

  • 譲渡額(譲渡価格)
  • 移動総資産(譲渡価格+負債総額)
  • 純資産額

移動総資産が最も成功報酬が高くなる傾向にあります。そのため、専門業者を選定する上で、手数料は一番のポイントとなります。おススメは、着手金、月額報酬、中間金がない完全成功報酬で、かつ、成功報酬の算定を譲渡額としている専門業者の方がよいかと思います。純資産額は、あまり使われていない認識です。

また、下限報酬を設定している専門業者が多くあります。下限報酬とは、成功報酬が下限報酬に達していない場合に一定程度の金額を下限報酬として定めることで成功報酬の底上げとなります。一般的には、300万円~2,500万円の範囲で設定されていますので、完全成功報酬でも下限報酬があると想定した成功報酬以上に手数料がかかることになりますので、確認されることをお勧めします。ちなみに、当社は下限報酬なしの完全成功報酬を採用しております。

買い手企業からも報酬をとる仲介方式

日本の中小M&Aが進まない一番の理由は、これだと思っています。仲介方式は、買い手企業と売り手企業の中間に立ち業務を遂行するため、利益相反となり得ます。

この点は、中小M&Aガイドラインにおいても言及されており、対策として不利益情報(両者から手数料を徴収している)の開示の徹底やリスクを最小化するための処置を求めております。

仲介方式は、大手企業のM&Aではほとんど行われておらず、買い手企業と売り手企業にそれぞれFAがつき、それぞれの立場から利益最大化となるようにお互いに調整を図りながら、業務を進めております。それで成約はするのです。

中小企業のM&Aが仲介である一番の理由は、専門業者の利益拡大のためです。中小企業は大手企業に比べて規模が小さいことから、成功報酬が多く取れないため、仲介方式をとっているにすぎません。利用者の利益のためではないのです。

クライアントに徹底的に寄り添うFA方式

このため、当社はFA方式にはこだわっております。適切な取引を目指し、「中小M&Aガイドライン」の指針や提言を実現していくことが中小企業のM&A促進に必要なことだと考えているからです。
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